障害者雇用に踏み出すとき、多くの企業が最初にぶつかる壁が「任せる仕事がない」です。けれど現場に入ってみると、そのほとんどは“思い込み”であることがわかります。仕事がないのではなく、いまある仕事を「切り出す」視点がまだない、というだけのことが多いのです。
なぜ「任せる仕事がない」と感じるのか
既存の業務は、特定の担当者が「一人で一連の流れをこなす」前提で組み上がっています。その塊のままだと、たしかに新しく迎える人に任せられる部分は見えにくい。業務切り出しとは、この塊をいったんほどき、工程やタスク単位で並べ直して、任せられる単位を取り出す作業です。
仕事がないのではない。「切り出す」視点が、まだないだけ。
3つの視点で探す
① 足し算 — 誰もやれていない仕事を渡す
「やった方がいいが、手が回っていない」業務は、どの会社にもあります。データ入力、書類のスキャン・整理、備品管理、清掃、軽作業。これらを集めて一つの役割に束ねると、新しい戦力の仕事になります。
② 引き算 — 既存社員の手元から外す
専門職や管理職が、本来の業務の合間にこなしている定型作業を切り出します。引き算は、任せる人の仕事を生むだけでなく、既存社員を本来の業務に集中させる効果もあります。
③ 新規 — 任せることで生まれる仕事
人を迎えることで、新たに価値が出る仕事もあります。たとえば、これまで外注していた作業の内製化や、後回しになっていた改善業務など。「人がいるからできること」を起点に考えます。
よくある失敗
- 余り仕事の寄せ集めにしてしまい、本人のやりがいや成長につながらない。
- 切り出しただけで、指示・確認の体制(誰が、どう支えるか)を設計していない。
- 本人の強みや特性を見ずに、空いている作業に当てはめてしまう。
業務切り出しは「作業を渡すこと」ではなく、「その人が活きる仕事をつくること」です。だからこそ、本人の自己理解(強み・必要な配慮)とセットで設計する必要があります。
まず、最初の一歩
はじめは、一日の業務を工程ごとに書き出し、「定型か/非定型か」「誰でもできるか/その人でないとできないか」で仕分けるだけで十分です。そこから、足し算・引き算・新規の視点で束ね直していく。この“たたき台”ができれば、最初の一人の受け入れは一気に具体的になります。
KIMIDORIでは、この業務切り出しのたたき台づくりを、最初の一歩としてご一緒しています。