2026年6月19日、厚生労働省が令和7年度の「ハローワークを通じた障害者の職業紹介状況」を公表しました。数字が示すのは、「新たに職探しを始める障害者は過去最多なのに、就職には結びついていない」という需給のねじれです。法定雇用率2.7%時代に採用へ動く企業にとって、このデータは市場環境そのものを表しています。要点を読み解きます。
数字の全体像──求職27.8万件、就職率41.4%
令和7年度の主な数字は次のとおりです(出典:厚生労働省・令和7年度公表資料)。
- 新規求職申込件数:278,136件(前年度比3.7%増・過去最高を更新)
- 就職件数:115,178件(前年度比0.4%減)
- 就職率(就職件数÷新規求職申込件数):41.4%(前年度差1.7ポイント減)
- ハローワークに届出のあった解雇者数:3,692人(前年度9,312人から減少)
求職者が増え続ける一方で就職件数はわずかに減り、就職率は低下しました。厚生労働省は就職件数減少の要因として、就労継続支援A型事業所への就職件数の減少等を挙げています。前年度に急増した解雇者数が落ち着いた点は明るい材料ですが、「応募したい人は増えているのに、受け皿が追いついていない」という基調は変わっていません。
求職者の6割が精神障害者という構造変化
もうひとつ押さえておきたいのが、求職者の中身の変化です。同資料によると、精神障害者の新規求職申込は165,316件で全体の約6割を占め、10年前(平成27年度:80,579件)から倍増しています。障害種別の就職率にも差があり、知的障害者が56.5%に対し、精神障害者は40.3%、身体障害者は36.3%にとどまります。
つまりこれから採用に動く企業が出会う応募者の多くは精神障害・発達障害のある方であり、体調の波への配慮や業務指示の出し方など、身体障害への設備対応とは異なる準備が求められます。「バリアフリー化はしたのに応募が定着につながらない」という企業の多くは、この構造変化への対応が追いついていないケースです。
データが示すのは「採用力」より「受け入れ設計力」
就職率が下がる市場で差がつくのは、求人広告の巧拙ではありません。応募者から見て「自分が何をやるのか、どんな配慮が受けられるのかが明確な会社」かどうかです。実際、就職後の定着も入社後3か月が最初の関門であることが調査で示されています(詳しくは入社後3か月の定着の記事へ)。
採用の前にやるべきことは、任せる業務の整理と受け入れ体制の準備です。手順は業務切り出しの記事とはじめの一人を迎える準備の記事にまとめています。求職者が過去最高のいまは、準備の整った企業にとってはむしろ採用の好機と言えます。
まず、最初の一歩
自社の採用計画を立てる前に、一度この公表データの原典に目を通してみてください。地域別・障害種別の詳細も掲載されており、自社が出会う応募者像の解像度が上がります。そのうえで、「精神障害・発達障害のある方に任せられる業務が自社にあるか」を洗い出すこと──それが、データが示す市場に対する最も実践的な備えです。
【出典】厚生労働省「令和7年度 ハローワークを通じた障害者の職業紹介状況などを公表します」(2026年6月19日公表)
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法定雇用率2.7%時代の経営環境レポート(PDF・14ページ)
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