KIMIDORIコラム / 定着
定着

入社して3ヶ月。定着が試される時期に、企業ができること

KIMIDORI 編集部2026.06読了 約5分
障害者雇用で入社後3か月の定着が試される時期に企業ができることを解説するコラムのアイキャッチ画像

障害者雇用は「採用できたら一区切り」ではなく、迎えてからが本番です。厚生労働省の最新調査(令和5年度)では、障害者の平均勤続年数はすべての障害種別で延び、雇用は着実に進んでいます。一方で、離職が最初の数か月に起きやすいという傾向は変わりません。ある追跡調査では、職場定着率は就職後3か月で76.5%、1年で58.4%まで下がります。離職はある日突然ではなく、最初の数か月の小さなつまずきが積み重なった結果であることが多いものです。定着が試されるこの時期に、企業は何ができるのかを整理します。

なぜ最初の3か月が「分かれ目」なのか

入社して間もない時期は、本人も会社もお互いをまだよく知りません。緊張や遠慮から「困っている」と言い出しにくく、小さなずれが見えないまま積み重なっていきます。試用期間とも重なり、本人の不安が大きい時期でもあります。

障害の種別によって傾向の差もあります。最新の実態調査では、平均勤続年数は身体障害12年2か月、知的障害9年1か月に対し、精神障害5年3か月、発達障害5年1か月と、精神・発達のある方は相対的に短めです。追跡調査でも、1年時点の定着率は精神障害で49.3%と半数近くが離職しており、体調やコミュニケーションへの目配りが、とくにこの時期に効いてきます。

離職は、ある日突然ではない。最初の数か月の、小さなつまずきの積み重ね。

つまずきが起きやすい場面

最初の数か月で起きやすいつまずきは、おおむね次の4つに整理できます。どれも「本人の問題」ではなく、職場側の段取りで小さくできるものです。

1. 仕事のミスマッチ

量・難易度・期待値のずれです。多すぎて回らないのはもちろん、簡単すぎて物足りないのも続かない原因になります。任せる仕事が曖昧なままだと、本人も周囲も手応えをつかめません。仕事の選び方そのものに迷う場合は、業務切り出しの始め方を見直しておくと土台が整います。

2. コミュニケーションのすれ違い

指示の伝わり方や、職場の「暗黙のルール」をめぐるずれです。口頭だけの指示が残らない、確認や雑談の機会が少なく、認識の違いに気づけない、といった場面で起きやすくなります。

3. 体調と勤務リズムの乱れ

最初は緊張から無理を重ね、数週間後に反動が出ることがあります。通院との両立や、波のある体調をどう前提に置くかが課題になります。

4. ひとりで抱え込む

相談先が決まっていない、あるいは決まっていても言い出しにくい。困りごとが小さいうちに表に出ないと、ある日まとめて表面化します。

この時期に、企業ができること

つまずきを完全になくすことはできません。できるのは、早く気づき、小さいうちに手を打つ仕組みをつくることです。次の3つが基本になります。

ひとつ目は、振り返りの場を定期化すること。入社直後から「2週間後・1か月後・3か月後」といった短い面談をあらかじめ予定に入れておきます。問題が起きてからではなく、起きる前に話す機会をつくるのが狙いです。

ふたつ目は、相談ルートを明確にすること。誰に、どう言えばよいかを最初に決めておきます。社内だけで抱えにくい場合は、地域障害者職業センターやジョブコーチなど外部の専門的な支援を活用する選択肢もあります。

みっつ目は、期待値と業務を微調整すること。入社時の設定に固執せず、実際の働きぶりに合わせて任せ方を見直します。少しずつ調整できることが、長く続く前提になります。

よくある失敗

まず、最初の一歩

入社日が決まったら、その時点で「2週間後・1か月後・3か月後」の振り返りの予定をカレンダーに入れてしまいましょう。起きてから対応するのではなく、起きる前に話す機会を仕組みにしておくことが、最初の数か月を支えます。

定着は採用後だけの問題ではなく、迎える前の準備から地続きです。採用に動く前の受け入れ準備ははじめの一人を迎える前にそろえる3つの準備に、業務と期待値の設計は定着設計の基本にまとめています。あわせて読むと、入社後に何を見て、どう調整すればよいかの解像度が上がります。最初の3か月を、本人にとっても会社にとっても確かな土台にしていきましょう。

出典

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