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動向・データ

障害者雇用は「数」から「質」へ。2027年法改正に向けた国の議論を整理する

KIMIDORI 編集部2026.07読了 約4分
障害者雇用の「質」と2027年法改正の方向性を解説するコラムのアイキャッチ画像

2026年2月、厚生労働省の「今後の障害者雇用促進制度の在り方に関する研究会」が報告書をまとめました。柱は、障害者雇用の「質」を評価する指針づくりと、いわゆる障害者雇用ビジネス(雇用代行型サービス)へのガイドライン検討です。はじめにお断りしておくと、これらは2027年の法改正に向けた研究会段階の方向性であり、確定した制度ではありません。それでも、国が何を評価しようとしているのかは、いま体制をつくる企業にとって重要な羅針盤になります。要点を整理します。

「雇用の質」──問われるのは3つの観点

報告書が示す「質」の中身は、大きく3つに整理できます。第一に能力発揮。障害のある社員が力を活かせる業務が設計されているか。第二に適切な雇用管理。合理的配慮の提供や体調に応じた働き方など、日々のマネジメントの質。第三に公正な評価。障害の有無によらず、成果と成長が処遇に反映されているか。

言い換えると、評価の軸が「雇用率を満たしているか」から「雇った人が活きているか」へ広がるということです。中小企業の質の高い雇用を認定してきた「もにす」制度の大企業への拡大も提言されており、質の高い雇用が採用ブランドや取引評価の資産になる流れは強まっていくと見られます。

雇用代行型サービスへのガイドライン検討

もう一つの柱が、貸農園などで雇用の場を提供する「障害者雇用ビジネス」に対するガイドラインの検討です。報告書では、利用企業に就労場所などの利用状況の報告を求める方向とあわせて、サービス側に期待される支援の例が示されました。利用企業自身の事業の中での業務切り出し・業務設計の支援、就業成果物が利用企業の事業に活きる提案、そして最終的に利用企業が自社での雇用へ移行するための支援などです。

背景にあるのは、業務指示や雇用管理を外部に委ねきると、雇用主に経験やノウハウが蓄積されないという審議会での論点です。ここから読み取れるのは「外部サービスを使ってはいけない」ということではなく、選ぶ基準です。任せきりにするサービスか、自社に設計力が残る形で伴走するサービスか──国が評価しようとしているのは後者の姿です。

企業がいまから準備できること

方向性の段階とはいえ、準備の中身は確定情報だけで決められます。第一に、自社の業務の中から任せられる仕事を切り出すこと(業務切り出しの始め方)。第二に、受け入れ体制と配慮の決め方を整えること(はじめの一人を迎える3つの準備)。この2つは、法改正がどう転んでも無駄になりません。むしろ「質」が制度化されたとき、最初の1人の業務設計そのものが評価対象になります。

逆に、未達成のまま様子見を続けることには別のリスクがあります。行政指導の仕組みは現行制度としてすでに動いています(雇入れ計画作成命令から企業名公表までの5段階)。

まず、最初の一歩

「数」の義務は2.7%としてすでに確定し、「質」の議論が2027年に向けて進む──この二段構えが現在地です。まずは確定している義務(自社の法定雇用障害者数と充足状況)を押さえたうえで、業務設計という「質」の土台に着手すること。制度の先回りとしては、それで十分です。今後の審議の動きは、下記の一次情報で確認できます。

【出典】厚生労働省「今後の障害者雇用促進制度の在り方に関する研究会」資料・報告書/障害者雇用対策(制度全般)

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